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Vol.34No.2
【特 集】 植物工場:最近の動きと将来展望


世界における植物工場の現状と将来性
NPO植物工場研究会    古在 豊樹
 植物工場に関心が高まっている社会的背景,世界の研究開発・普及状況,持続可能な植物生産システムの要件と閉鎖型植物生産システム・植物工場との関係,技術開発課題,植物工場において生産対象となる植物について述べる。
(キーワード:閉鎖型植物生産システム,持続可能性,投入資源利用効率)
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植物工場における光源の現状と課題
千葉大学    後藤 英司
 完全人工光型の植物工場では光源に人工光だけを用いる。太陽光利用型の植物工場のうち人工光併用型では,補光のために人工光を用いる。光は光合成にもとづく成長に不可欠であり,光形態形成にもとづく形態および含有成分の制御にも有用である。温湿度を制御するだけでは周年的な工場生産を達成することはできない。光強度,日長および光質をうまくコントロールしてはじめて,高品質の作物を生産することが可能になる。そこで本稿では人工光を用いる植物工場における光源の現状と課題を述べる。
(キーワード:植物,人工光,波長,LED)
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わが国の太陽光型植物工場の動向そしてシステム・情報化の展望
東海大学    星 岳彦
 人工光型植物工場と比べ数千倍以上の面積,規模がある施設園芸を含めることにより,植物工場関連技術開発の恩恵を農業分野に波及できる可能性は格段に広がる。今や組織や企業の壁を越え,オープンなプラットホームという共通の土俵の上で,互いに切磋琢磨し合って技術や経験を蓄積・共有し,新しいサービスや異業種との連携を通じて,より大きな需要と価値を創出すべき時ではないだろうか。わが国の施設園芸が太陽光型植物工場に進化する必要のある現状と,それを支える環境制御システムを中心とした情報プラットホームの展望について解説する。
(キーワード: 環境制御,コンピュータ,施設園芸,プラットホーム,ユビキタス)
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植物工場施設における作業自動化技術
(独)農業・食品産業技術総合研究機構生物系特定産業技術研究支援センター    林 茂彦
 高度な環境制御を行うことにより,作物を周年で計画的に生産することを可能とする植物工場の発展には,作業の自動化や省力化を考慮した生産システムの構築が必要不可欠である。研究対象が葉菜類から果菜類に利用拡大が進むなか,イチゴ生産を対象に作業の自動化に取り組み,収穫適期の果実のみを選択して収穫するイチゴ収穫ロボットを開発した。また,作業性と生産性の向上を目指した栽培技術として,移動栽培装置を開発した。
(キーワード:植物工場,自動化,イチゴ,収穫ロボット,移動栽培)
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農研機構(NARO)における植物工場生産技術開発の取り組み
(独)農業・食品産業技術総合研究機構・野菜茶業研究所    高市 益行
 農研機構(NARO)では,農林水産省モデルハウス型植物工場実証・展示・研修事業をつくば実証拠点および九州実証拠点において実施する。つくば拠点では太陽光利用型施設によりトマト・パプリカ・キュウリの低炭素型多収生産の実証に取り組み,九州実証拠点では太陽光利用型施設によりイチゴの周年多収生産を実証し,人工光型施設によりレタスやスプラウト類の周年生産の実証に取り組む。
(キーワード:低炭素型,ユビキタス環境制御システム,クラウン部局所温度管理,HEFL光源)
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青森県における寒冷地対応型植物工場の取り組み
(地独)青森県産業技術センター    唐澤 英年
 経済産業省委託事業「寒冷地に適応した低コスト太陽光利用型植物工場の開発」が採択され,(地独)青森県産業技術センターのプロジェクトチームを中心に開発を進めている。2年間にわたる本研究開発の目的は,寒冷地で採算の取れる植物工場ビジネスモデルを策定することである。研究開発項目は,①高断熱ハウス,②低コスト養液栽培システム,③生育に応じた光制御による高品質・高付加価値の生産調整技術,④電力線通信を用いた生育環境およびエネルギー制御技術,⑤自然エネルギーの活用等によるエネルギーコストの節減技術の開発で,従来施設と比較してイニシャルコストとランニングコストの各々30%低減を目指している。
(キーワード:太陽光利用,寒冷地,光制御,電力線通信,自然エネルギー)
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玉川大学におけるLED植物工場開発の取り組み
玉川大学    渡邊 博之
 2010年3月,玉川大学では東京都町田市のキャンパス内に植物工場研究施設を完成させ,5月より本格的に稼働させた。LEDを主光源とし,人工光型植物工場の機能や効率性,事業性を研究する本格的な研究施設である。施設の概要と今後の研究課題について紹介する。
(キーワード:植物工場,発光ダイオード,LED,人工光完全制御型,植物栽培システム)
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トマトの立体移動ベンチシステムによる周年多収生産
(株)誠和カンジンファーム    新堀 健二
 トマト生産の高収量と一般産業並みの合理化を目指す事例として,立体移動ベンチシステムによる生産方式を開発し,栃木県で大規模生産を行った。4段摘心のトマトを,生育ステージの時間差をつけて上下2段で連続栽培する方式で,空間で上下2段の栽培槽を配置し,下段には収穫株が,次の若い株をその上段で栽培する。4段摘心のトマトが下段で収穫し終わると,上段で育った収穫直前のトマトを栽培槽ごと下段に下ろし収穫が始まる。予め育苗させた次の株を上段にまた定植し,これを繰り返すことによって周年栽培を可能とする。新しい栽培体系で,まだまだ課題も多いが,50t/10aという周年高収量の目標が見えてきている。本方式は大きな可能性を秘めた栽培方法と思われる。
(キーワード:養液栽培,トマト,立体栽培,周年栽培,低段栽培)
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