Vol.5 No.10 【特 集】 スマート農業を支える技術開発 |
ICTやロボット等活用による農業機械を中心としたスマート農業 | ||||||
農研機構 農業技術革新工学研究センター 八谷 満 | ||||||
日本農業は,農家戸数の減少と就業者の高齢化により労働力不足は深刻である。日本農業が持続性を確保するためには,農産物の格段の品質向上と生産コスト削減が不可欠であり,ICTやロボットへの期待が高まっている。ICTを活用した圃場生産管理システムにおいては,従来の経験則に裏打ちされていた農業者技術・経営管理ノウハウをデータ化・マニュアル化して人材確保・技術継承に役立てることが期待される。圃場水管理の自動化システムは2017年度までに農家が導入できる価格での市販化が予定されている。さらに,今後のロボット農機の社会実装に向けた戦略としては,2018年度に有人監視下での圃場内自動農作業機の市販化に向けた最終局面にある。 (キーワード:ICT,ロボット農機,スマート化,生産支援システム,社会実装) |
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水田の水管理を遠隔・自動制御する圃場水管理システム | ||||||
農研機構 農村工学研究部門 若杉 晃介 | ||||||
担い手農家における水稲の水管理労力は多筆・分散農地によって,大きな負担になっている。加えて複数の品種,作期,栽培方法などを組み合わせるため,水管理の複雑化も問題になっている。そこで,ICTを活用することで,水管理状況をモニタリングし,それに基づいて灌漑・排水を遠隔かつ自動で制御し,水管理の省力化と最適化を同時に実現する圃場水管理システムを開発した。本システムは水位センサーが付属した自動給水バルブと自動落水口,通信用の基地局,サーバーソフトで構成されており,様々な状況に対応した水管理が可能である。また,高温・低温障害を抑制する水管理や栽培作物に応じた水管理スケジュール作成も可能となる。 (キーワード:ICT,水管理,省力化,節水) |
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クボタスマートアグリシステム(KSAS) | ||||||
株式会社クボタ アグリソリューション推進部 長網 宏尚 | ||||||
農業の大規模化やコスト競争力の強化,農産物の付加価値化への取組みが進む中,クボタでは農業機械の技術革新とICTを融合させた「クボタスマートアグリシステム(KSAS)」を開発した。KSASでは,圃場や資材,栽培などの多岐にわたる農業情報を一元管理し,さらにはICT農機と連動することで,作物,作業,農機情報の収集等が可能。それにより圃場ごとの特性を把握する等,経営者にデータを営農改善に役立ててもらうことを目的にしている。 (キーワード:農機・施設とのICT連携,見える化,データの活用) |
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複数のロボット農機を運用するマルチロボット作業システム | ||||||
農研機構 農業技術革新工学研究センター 玉城 勝彦 | ||||||
農村の高齢化に伴う農家数の急激な減少,担い手の経営規模の拡大などの農業情勢を受け,現在,内閣府 戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「次世代農林水産業創造技術」委託研究で実施している複数のロボット農機を運用するシステム(=マルチロボット作業システム)の開発について,現状と今後の展望を概説する。複数のロボットトラクタを用いる標準区画向けと大区画向けのシステムと中心に,収穫を担うロボットコンバインのシステムにも触れながら社会実装に向けた取り組みを述べる。 (キーワード:ロボット,自動走行,トラクタ,コンバイン,安全性確保) |
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スマート田植機によるビックデータ生成 | ||||||
鳥取大学 農学部 森本 英嗣 | ||||||
土地利用型農業にスマート農業技術を導入するにあたり最も重要な要素技術は土壌情報の収集システムである。本章では,スマート田植機の紹介を通じて,プロ農家が持つ知見・状況応じた圃場管理を行う上で「アタリ」についてスマート農業がどのようにサポートできるかを議論する。 (キーワード:スマート田植機,リアルタイム可変施肥,作土深,土壌肥沃度) |
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ロボット農機の安全性評価システムの構築に向けて | ||||||
農研機構 農業技術革新工学研究センター 藤盛 隆志 | ||||||
ロボット農機の実用化や市販に向けた動きが急ピッチで進展する中,従来の農業機械の安全性評価と同様にロボット農機の安全性を評価するシステムの構築が必要となっている。農作業事故の防止は農政上の重要課題であることから,先般策定された,ロボット農機の実用化・市販化に向けた「農業機械の自動走行に関する安全性確保ガイドライン」と,第三者によるロボット農機の安全性評価システムの構築の動きを紹介する。 (キーワード:ロボット農機,安全性評価,農作業事故,農業機械化促進法) |
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地球観測衛星とドローンによるリモートセンシング | ||||||
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衛星画像を用いた農業リモートセンシングは古くから研究・発展してきたが,近年,ドローンによる低空リモートセンシングが注目され始めている。衛星画像の最大の利点は地域スケールの広域情報を一度に得られることであり,一方,ドローンによるものは圃場単位のスケールで高頻度に高分解能画像が得られることである。本報告ではそれぞれの強みを生かした農業利用の可能性について紹介する。 (キーワード:農業リモートセンシング,衛星画像,ドローン) |
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フィールドセンシングと農業ビックデータ | ||||||
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データに基づく農業を行うためには農業現場で様々なデータを効率的に取得する必要があり,これを実現するオープン・フィールドサーバを用いた圃場モニタリングの取組みや現状について紹介する。また最近の人工知能の発展によって農業現場のデータがますます求められるようになり,圃場モニタリングの新たな役割が期待される。そこで現在行っている農業ビッグデータの基礎研究プロジェクトでの事例を中心に,農業ビッグデータの構築・利用に向けた現状や課題,今後の展望についても述べる。 (キーワード:圃場計測,センサネットワーク,画像モニタリング,ビッグデータ) |
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