カンガルーポーの仲間(ハエモドルム科 Haemodoraceae) |
(1) Anigozanthos humilis (2) Anigozanthos manglesii (3) Anigozanthos rufus |
(4) Macropidia fuliginosa |
オーストラリアの植物といえば、ユーカリやアカシアに代表されるように他の大陸とは全く違う個性的な形をした植物の宝庫で、その中でも特に西オーストラリアには約476属、
約12,000種もの植物が自生しています。この中には固有種も多く、日本で見られるのはほんの一部で、世界でこの地域にだけということはまさに地球の宝石とも言えます。
一度はそのワイルドフラワーが咲き誇る見てみたいと思っていました。その願いがかなって西オーストラリアのパースに行ってみると、身近な所に一度に多くのワイルドフラワーに出会うことができ、 感激しました。町中を歩いていても、花壇、街路樹、はもちろん雑草でさえも出会うのはすべて固有種で、想像以上に実に多種多様でした。日本人にとってオーストラリアには雑草はなく、 町全体が植物園のようです。 ところで、多くの国では帰化植物が見られるものですが、西オーストラリアは独特の自然条件のためにほとんど外来の植物が生き残れないためにほとんど帰化植物はないようです。 唯一見られるのは遠く離れた南アフリカの植物だけなのです。不思議な気がしますがこのことからも西オーストラリアと南アフリカは自然条件が似ている唯一の地域ということがわかります。 その中で最初に紹介するのはオーストラリアの個性的な種類の一つ、カンガルーポーの仲間です。 カンガルーポーはハエモドルム科に分類されていて、約16属75種、オーストラリア、南アフリカ、中南米に分布する多年草です。 パースに着いた時、道路の分離帯に植えられている赤と緑の鮮やかなカンガルーポーが最初のオーストラリアの花との出会いでした。 出会った花は色鮮やかでどこか変わった形をしています。しかし、それはどの種も乾燥、山火事、高温などの過酷な自然環境の中で生きるための工夫だったのです。 オーストラリアの植物は強健なだけのイメージしかないかもしれませんが、私は、ほんの数mmの小さな花でも健気に咲いているのを見て、 オーストラリアの花にとても癒されると同時に元気ももらうことができました。 |
(2)Anigozanthos manglesii(アニゴザントス マングルジー) |
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種名は、西オーストラリア州の初代長官ロバート マングルス(Robert Mangles)に因んでつけられました。 英名の一つはMangle's kangaroo pawで、もう一つは花の色から付けられたRed and green kangaroo pawです。 花の色は赤と緑が基本ですが、緑だけの場合、朱になる場合など変異があります。 赤と緑の花、赤い花柄の種は、園芸品種のように華やかなのでワイルドフラワーの中では遠くからでも目立ちました。 |
(3)Anigozanthos rufus(アニゴザントス ルフス) |
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英名は、花の色が赤いところからRed kangaroo pawと呼ばれています。 |
(4)Macropidia fuliginosa(マクロピディア フリギノサ) |
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マクロピディア属は、花茎が枝分かれしているのが特徴です。 写真の種は、オーストラリアのパース北部のジェラルトンに自生しています。 花が黒いので英名は、Black Kangaroo Pawと付けられていますが、実は花が黒いのではなく、黒い毛が密生しているために黒く見えるだけで、花筒は緑がかった黄色です。茎まで毛で覆われて真っ黒です。 種名のfuliginosaも、「煤(すす)」を意味するfuligoに由来しています。 草丈は0.6〜1.8mほどで、花の長さは5〜6cmです。 こんな色の花もシックで素敵ですね。 |