プロテアの仲間(ヤマモガシ科 Proteaceae) |
(1) Banksia attenuata (2) Banksia prionotes (3) Banksia sessilis |
(4) Banksia speciosa 'Mint Julep' (5) Grevillea bipinnatifida (6) Grevillea thelemanniana |
(7) Hakea prostrata (8) Leucospermum cordifolium (9) Leucospermum reflexum |
(10) Protea aristata (11) Protea cynaroides (12) Protea grandiceps |
(13) Protea neriifolia |
ヤマモガシ科は、約60属1,400種以上もある常緑木です。
オーストラリア、ニュージーランド、中央・南アフリカ、マダガスカル、ニューカレドニア、ニューギニア、東南アジアと南半球に分布し、そのうち約800種がオーストラリアに自生しています。 意外なことに日本にも1種自生しているのです。それは科名のとおり「ヤマモガシHelicia cochinchinensis (ヘリシア コキンキネンシス)」という種です。 ヤマモガシ科には、プロテア(Protea)、バンクシア(Banksia)、マカダミア(Macadamia)などの属を含み、マカダミア属はマカダミアナッツとして食用にされています。 |
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(2)Banksia prionotes(バンクシア プリオノテス) |
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本種は、1840年にジョン リンドレーによって最初に記録されました。 花の色の一つに、橙色があるので、英名はOrange Banksiaと付けられています。 また、もう一つの英名にAcorn(どんぐり) Banksiaがありますが、こちらの方は花序の形が袴をつけたどんぐりのような形であるところから付けられました。 柔らかな毛に覆われたドングリ形の花序は、可愛くて手で撫でたくなります。 |
(3)Banksia sessilis(バンクシア セッシリス) |
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バンクシア属とはずいぶん違った花と果実の形なのでバンクシア属になったと知ってびっくりしました。 写真のセッシリスという種は、オーストラリア南西部に自生する常緑木で、高さは0.5〜5mになります。 葉はヒイラギのような形になり、花の周りと他の所で形が異なります。 英名は、Parrot Bushです。 |
(4)Banksia speciosa 'Mint Julep' (バンクシア スペシオーサ「ミント ジュレップ」) |
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本種は、1810年にロバートブラウンによって命名されました。 英名は、Showy (目立つ、華やかな)Banksiaで、品種名の「ミント ジュレップ」は、ハッカ入りの酒のことで、花の色がミント色なので付けられたのでしょう。 葉は非常に細長く、のこぎり状に切れ込むのが特徴です。このようなピンキングハサミで切ったような形の葉は他の地域では見たことがありませんでした。 よく見ると葉脈も変わった形でした。何故、こんな形に進化していったのでしょうか。不思議な植物の謎は深まるばかりです。 |
(5)Grevillea bipinnatifida(グレヴィレア ビピンナティフィダ) |
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グレヴィレアという属名は、イギリスの園芸家で王立園芸協会の創始者チャールズ グレヴィル(Charles Greville)に因んでつけられました。 葉は線形または針形で、羽状に裂けるものもあります。 花は、花弁のように見える総苞(そうほう)から、長い花柱の突きだした花を咲かせるのが特徴です。 和名は、シノブノキ属で、シノブノキ(G.robusta)という種は日本ではキヌガシワやハゴロモマツという名前で流通しています。 ハゴロモマツの方は、花が羽衣に、葉が松に似ているために付けられました。 英名はGrevilleaの他、Spider flower、Silky-oak、Toothbrushとも呼ばれていて、和名と同様に花と葉の形から付けられたようです。 木の高さは、0.5m未満の種から35mになる種まで多様です。 写真のビピンナティフィダという種は、オーストラリア西部の固有で、木の高さは1mほどになります。 本種は、植物学者ロバート ブラウンによって1830年に最初に記録されました。 英名は、フクシアのような赤い花を着けるところからFuchsia Grevilleaと付けられています。 長い花柱が華やかをプラスしていますね。 |
(6)Grevillea thelemanniana(グレヴィレア セレマンニアナ) |
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英名は、Spider-net(蜘蛛の巣) Grevillea です。 花は、グレヴィレア属の中では数が多い方で、葡萄の様な房になります。 赤い花と白い花柱のコントラストが印象的です。 |
(7)Hakea prostrata(ハケア プロストラタ) |
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写真のようにグレヴィレアに似た花柱が長い花を付けるので近縁ですが、種子の形が違うことでグレヴィレアとは区別されています。 ハケアという属名は、ドイツの植物学者C.L.ハケ(Hake)に因んでいます。 英名は、花序の形からPincusion(針山) treeと付けられています。 花色は赤、オレンジ、紫、ピンク、黄色、白などがあります。 写真のプロストラタという種は、高さ0.3〜5mで、花と葉が交互に隙間なく付いて枝が見えないという種は珍しいですね。また、オーストラリアの不思議に出会えました。 英名は、Harsh(あらい、ざらざらした) Hakeaです。 |
(8)Leucospermum cordifolium(レウコスペルムム コルディフォリウム) |
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レウコスペルムムという属名は、ギリシャ語の「白い」を意味するleukosと「種子」という意味のspermaに由来しますが、これは白い種子を付けることからです。 英名では、花序が針山に似ているところからPincushion、更にプロテアにも似ているところからPincushion Proteaとも呼ばれています。 写真のコルディフォリウムという種は、木の高さ3mになります。 花の色は写真のように橙の他、赤、黄、ピンクがあります。 葉は変異が大きく、同じ木の中でも形が異なる葉を付けることもあります。 遠くから見ると黄色の花にしか見えませんでしたが、近くで見ると鳥の羽毛のような白い毛、黄色の花柱、赤い花弁などが混ざり合って、とても美しく、また繊細な花であることがわかりました。 |
(9)Leucospermum reflexum(レウコスペルムム レフレクスム) |
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花序は、8〜10cmで開花初めは花柱が上向きですが、写真のようにだんだん下垂してきて、個性的な形を作ります。花は、緋色でまれに黄色もあります。 レフレクスムという種名は、ラテン語で「後ろに曲がった」を意味するreflexusに由来します 。 英名は、Rocket pincushionで、これはこの種の花の色と形がロケットの噴射のように見えるので付けられました。 こんなユニークな形の花は初めて見ました。 |
(10)Protea aristata(プロテア アリスタタ) |
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属名は、ギリシャ神話の海の神であるプロテウスに由来します。これは、リンネが本属の植物が変異が多いことから自由に姿を変えられるプロテウスをイメージして付けられたものです。 巨大な花と思われている外側の花弁のように見えるのは、実は総苞(そうほう)です。 プロテアは、イギリスのマッソンとツンベルグによって18世紀に発見されました。 英名はProteaの他、Sugarbushesとも呼ばれています。これはSugarbird(ミツドリ)によつて受粉されるので付けられたとのことです。 写真のアリスタタは、南アフリカのケープ地方に自生し、木の高さは2.5mぐらいになります。 1928年に発見されましたが1953年まで再び見つけられませんでした。その遅い発見にもかかわらず本種は南アフリカで有名なプロテアのうちの1つになりました。 葉は、触ると痛そうな松のような形をしているので、原産地では「小さな松のような砂糖の木」を意味するklein-den-suiker-bosと呼ばれていました。 このコーナーの中ではオーストラリアの植物ではなく、南アフリカ原産の種も紹介することにしました。両国は遠く離れていますが気候、土壌などの自然環境がとても似ていて、 南アフリカの植物がオーストラリアでも見られます。 オーストラリアでは、帰化植物がほとんど見られませんが唯一南アフリカ原産の植物だけが帰化できています。従って、オーストラリアで雑草と呼ばれるのは南アフリカ原産のオステオスペルマムやグラジオラスなどです。 日本では雑草とは言いませんが。 |
(11)Protea cynaroides(プロテア キナロイデス) |
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南アフリカのケープ地方に自生し、南アフリカの国花になっています。 木の高さは2mぐらいで、花序は名前のとおり30cmにもなり、濃ピンクの総苞片が豪華に縁取ります。まさにキングと呼ばれるのにふさわしい花で、初めて見たときはびっくりしました。 園芸品種も多数育成されています。 キナロイデスという種名は、頭状花がアーティチョーク(Cynara scolymus)に似ているところからその属名Cynara から付けられました。 |
(12)Protea grandiceps(プロテア グランディケプス) |
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花序は10cmぐらいで、キングプロテアのようには総苞(そうほう)は開かないで、包み込むような卵形になります。英名の一つは、Peach proteaで、 まさに桃のような手触りの柔らかな毛に包まれています。 もう一つの英名は、Red bearded(あごひげ)Proteaですが、桃とあごひげという全く違う発想がおもしろいですね。 |
(13)Protea neriifolia(プロテア ネリーフォリア) |
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本種の発見は、1597年で本属の中では早い時期です。 英名は、Green-leaved bearded(あごひげ) Proteaで、グランディケプス種と同様に総苞(そうほう)が毛に包まれているところから付けられました。 花は、直径6〜7cm程で、赤くて細長い苞の先が黒っぽくなるのが特徴で、白や黄白色の園芸品種もあります。 ネリーフォリアという種名は、キョウチクトウ属の学名のNeriumから付けられたもので、葉がキョウチクトウの葉に似ていることによります。 |