セリ科というとセリやセロリに代表されるようにほんんどが野菜ですが、今回は、花として観賞する仲間で、
ウマノミツバ亜科(Saniculoideae)に属するエリンギウムとアストランティアを紹介します。
両者とも、セリとはほど遠い形の花の一風変わった植物で、不思議な美しさがあります。 |
エリンギウム属(Eryngium) |
アストランティア属(Astrantia) |
各写真をクリックすると大きな写真をご覧になれます。
エリンギウム属(Eryngium) |
★ プロフィール ★ アザミに似た形をしていますが、エリンギウムは、全世界的に230種も分布しているセリ科の多年草(一部二年草)です。 青色で羽状の花弁のように見える部分は、エリンギウムの特徴である総苞(そうほう)です。本当の花は中心の円柱状の部分で、小さな花のあつまりが頭状花序を形成します。花序、総苞、種によっては茎・葉までも青や銀色の金属的な光沢のある色になるのも本属の特徴です。部分的に金属光沢のある植物は、本属の他にはポプラ、ヤナギ、リュウカデンドロン、ユーカリ、ルリタマアザミなどがあります。しかし、全体に青や銀色の金属光沢を放つのは、他にはルリタマアザミだけでです。このような植物の葉の金属光沢は、葉表面の細かい毛や鱗片、表面の細胞の下の空間、またはろう質が光を反射するために現れるもので、高山や乾燥地帯に適応するために進化したものだとされています。この金属光沢は、植物の若い時期には現れません。 これらの特徴的な花序や総苞などは、銀色、白色、紫色などの種があり、金属光沢を持つものが多く、夏の花壇ではフォーカル・ポイントとして輝いています。 本属の総苞の形は、種毎に個性的で、羽状の種、柊の葉のような形の種、被針形の種などがあります。しかし、美しいものに刺があるのは、バラだけではないようで、本属は葉・総苞に刺のある種が多いのです。 本属は、冷涼で乾燥した地域に適しているので、イギリスと異なり日本での栽培地域は限定されますが、最近、切花で数種が流通しはじめたので、日本でも見られるようになりました。切花として観賞した後は、ドライフラワーにもなります。 |
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アストランティア属(Astrantia) |
★ プロフィール ★ アストランティア属は、ヨーロッパ及び西アジアの林縁部などの湿地に10種が分布する多年草です。アストランティアという名前は、 その星の様に放射状の花形からギリシャ語の「星」という意味の「アスター(Aster)」に由来すると言われています。余談ですが、 キク科のアスター(Aster)も同一の語源のようです。その星型で先端が緑色の花弁に見える部分は、エリンギウムと同じように総苞で、花と言えるのは、 中央に集まっている小さな管状のもので、単性花と両性花が混ざっています。 英名は、masterwortです。 最近、園芸品種がたくさん作られ、様々な花色が楽しめるようになりました。イギリスでは、野趣あるさわやかな花なので、 夏のコテージ・ガーデンに似合う花として人気があります。 |
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