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別の機会(シリーズ9回目)に紹介するが、中国の人は歴史的にセミに特別な感情を持っていて、古来無数のセミのオブジェが作られた。
その多くは玉(ぎょく)製であるが、それらの模造品は現在もなお装飾品や土産物として生産されている。このため、中国で目にする虫のオブジェは9割以上がセミばかりである。
このセミもまた現代のものながら、モチーフとしてセミが選ばれたのはこうした事情による。おそらくほかの例からこれも創作ではなく、
過去の出土品に同形のモデルがあるものと思われる。体長約50mm。翅長43mm。陶製の胴に黄銅の針金で象眼し、漆で彩色してある。
模様は中国の仏教寺院風の趣がある。翅と脚は黄銅製。翅膜は精巧に編んだ金網。古い虫仲間の守本陸也氏の中国みやげで、
氏が1998年に福建省の福州市で求めたもの。シリーズの冒頭を飾るにふさわしい、ぼくの持つ中国の蝉の中でも逸品である。
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