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黄銅の蝿の小物入れ

(ギリシャ)


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 これらの蝿も翅を持ち上げると腹部が小物入れになっている。左下のシンプルな方は、1994年秋、柏市のデパートでの採集品で「ギリシャ製」のシールが貼ってある。 体長9cm。一方、左のゴテゴテの飾り付きの方は、虫仲間の服部伊楚子さんの最近のトルコみやげ。本体は前者とほぼ同形で、おそらくおとなりのギリシャから本体を仕入れて、 お得意のトルコ石で飾って付加価値?を付けたものであろう。ただし、悪く言えば”ばい菌をつけた蝿”に見えないこともない。いずれにしても鋳物の仕上げはともに粗雑である。

 なお、黄銅製のこうした小物入れの中でも蝿は古くからもっとも定番のオブジェで、ぼくのコレクションの中にも、イタリア製の体長17cmの「蝿の灰皿(ハエ皿というべきか)」(写真)や、 インドネシア製のその模造品がいくつかある。モチーフに蝿が選ばれた理由は定かではないが、中にはかなりの時代物もあり、おそらく前回紹介のアールヌーボーの蝉に似た起源を持つ、 ヨーロッパ由来のオブジェと思われる。


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