Vol.3 No.3 【特 集】 第15回民間部門研究開発功績者表彰受賞者の業績 |
飼料用トウモロコシ収穫用細断型ロールベーラの開発 | ||||
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飼料用トウモロコシは,多収量で栄養価が高く,濃厚飼料の栄養価の一部も代替できる,最も主要な飼料作物である。しかし,収穫調製作業を効率的に行うには5〜6人が必要となり,酪農家戸数の減少で共同作業が困難になったうえ,人手による重労働を要するサイロ詰め作業が高齢化により困難となり,作付面積は減少の一途を辿った。細断型ロールベーラは,特殊構造の成形室により,細断したトウモロコシを高密度にロール成形できる。本機の普及により,収穫調製作業が二人でも省力的に行え,酪農家を炎天下のサイロ詰めの重労働から解放した。調製されたサイレージの品質も高く,高品質な自給粗飼料の増産に貢献している。 (キーワード:飼料用トウモロコシ,収穫調製,サイレージ,ロールベーラ) |
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育児用固形化粉ミルクの製造技術の開発 | ||||
株式会社明治 技術開発研究所 柴田 満穂・大坪 和光・ 佐竹 由式・豊田 活 |
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調乳時の粉のこぼれや計量間違いなどを軽減し,粉ミルクの利便性を飛躍的に高めて,より快適な育児生活に貢献することを目的に,固形化した粉ミルクの開発を試みた。開発に当たっての技術的な課題は,原材料,組成は元となる粉ミルクのままで,添加剤などを使用することなく,哺乳瓶内での実用的な溶解性と輸送中に壊れない保形性の相反する2つの性質を両立させることであった。種々の検討の結果,粉ミルクを低い圧縮力で圧縮成形して温水が浸透するための空隙を確保して得た成形体の表面のみを加湿,乾燥して表面近傍の粒子同士の架橋を形成させて物理的強度を付与することで,実用的な品質を持つ固形化粉ミルクの製造技術の開発に成功した。 (キーワード:粉ミルク,固形化,利便性,溶解性,強度) |
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オリーブ粕の飼料化技術の開発と地域ブランド化の推進 | ||||
農業自営 石井 正樹 | ||||
小豆島特産であり未利用資源となっていた,オリーブ搾り粕は渋みが強いため,そのままでは家畜は食べなかった。「渋柿」の原理を応用し,天日干しで渋みが取れることを見出し,家畜が食べることを発見した。さらに,高温乾燥製法を考案し,オリーブに含まれる糖分がメイラード反応を起こし香ばしい風味を引き出すことで,牛の嗜好性が高まり肥育成績が向上した。結果,オリーブに含まれるオレイン酸や機能性成分の効果により,さっぱりとした脂質でヘルシーな黒毛和牛肉として県内外の市場関係者から高い評価を得た。機械乾燥機を導入し「オリーブ飼料」の増産に取組み,「オリーブ牛」としてブランド化され,県下全域に生産が広がり国内外へ販路を拡大している。 (キーワード:オリーブ,メイラード反応,オレイン酸,抗酸化物質) |
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万能のトリフルオロメチル−ピリジン(TFMP)中間体を 用いた新農薬探索手法の確立と一連の新農薬の創製 |
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元・石原産業株式会社 芳賀 隆弘 | ||||
農薬の改良研究は急速に進み,種々の点で高性能化が図られた安全農薬の開発が実現されたが,農薬が高性能化するほどそれら既存の農薬の性能を凌駕することが難しくなり,新たな新農薬の探索研究手法が望まれていた。そのような状況下で着目された中間体:トリフルオロメチルピリジン(TFMP)を活用した独創的な農薬探索方法が開発されるとともに,この方法により開発した高性能の新農薬が国内外で広く普及された。 (キーワード:トリフルオロメチルピリジン,中間体,新農薬,デザイン,創薬) |
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新品種の小麦「ゆめちから」および米「ゆめふわり」を用いたパン製品の開発 | ||||
敷島製パン株式会社(Pasco) 井上 俊逸・藏満 政朋・高光 健太郎・ 伊勢木 智行・栗田 木綿子 |
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Pascoは我が国初の超強力小麦「ゆめちから」の市場拡大を目的に新たなパン製品の研究開発に着手し,国産中力小麦とのブレンドを最適化することにより,輸入小麦と同等以上の加工適性,パン品質を得ることに成功した。そして,このブレンド技術を活かした食パンやベーグルなどを開発し,市場導入に繋げた。また,米の需要拡大を目的に,製粉および製パン適性に優れ,好ましい食感を付与できる新水稲品種「ゆめふわり」の育成支援と製品開発に取り組み,「ゆめちから」も活用した米粉入り食パンの開発に繋げた。 (キーワード:超強力小麦,ゆめちから,パン,米粉,ゆめふわり) |
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国産モミ米を配合した養鶏飼料「こめっ娘(こ)」シリーズの開発 | ||||
昭和産業株式会社 宇野 秀雄・重城 光一・福永 菜摘・小笠原 由佳 | ||||
稲作農家と連携して飼料用米の利用を進めていくうえで,脱穀後のモミ殻の処理が課題であった。また,玄米や精白米とは異なり,モミ米やモミ殻は配合飼料にほとんど利用されてこなかった。そこで,モミ殻も飼料として利用する事を目的にモミ米のまま,鶏の飼料化に取り組んだ。モミ米は繊維質が豊富で,消化に良い影響を与えるが,粒が大きく雛は食べる事ができないため,粉砕して形成加工(ペレットクランブル)する技術を開発し,雛の発育・腸内細菌叢の改善と筋胃増大が認められた。これにより,初生から採卵鶏まで一貫してモミ米配合飼料を給与する事が可能となった。 (キーワード:飼料用米,国産モミ米,モミ殻,養鶏飼料,こめっ娘) |
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温州みかん「北原早生」の育成と産地化 | ||||
南筑後農業協同組合柑橘部会 永野 正氣・北原 悦雄・ 河村 孝一・岡 昌則 |
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2001年に発見された「北原早生」は,10月中旬に収穫される品種としては,糖度・着色において極めて優良な形質を備えている。柑橘部会では,部会で定めた「園地登録制」により「北原早生」はシートマルチ栽培を園地登録の条件とし,品質を確保するとともに,大苗育苗による苗供給体制を確立し,園地造成と同時に植栽を進めた。その結果,6年間(2008〜2014)という短期間で,部会面積の1割以上に拡大し,収穫量も755t(2014年)となった。 販売においては,最上級ブランドのマル特を「北原早生」限定で黒箱とし,他品種と区別,高価格販売を実現することができた。このことが,生産者のやる気を喚起し,Uターンを中心に後継者が増えて,産地活性化に繋がっている。 (キーワード:北原早生,園地登録制,シートマルチ栽培,黒箱,産地活性化) |
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バラ「ローテ・ローゼ」の品種開発と普及 | ||||
育種家(農業) 浅見 均 | ||||
ローテ・ローゼは1984年,(エルマラ×カランボ)に(ビンゴ×メリナ)を交配して育成した。1992年に品種登録(登録名:アサミ・レッド)され,光沢のあるビロード赤は多くの消費者の心をとらえ,大輪の赤バラとして人気を博した。生産面でも切り花本数が多く,周年生産に適し,またアーチング仕立てや養液栽培にも適したことから,発売以来10年以上赤バラのトップシェアを有し,現在も主要品種として栽培されている。国産品種であるローテ・ローゼが赤バラ品種のトップを維持し続けたことで,バラ輸出国からの輸出攻勢を回避でき,国内の生産農家の経営安定につながった。 (キーワード:赤バラ,切り花,品種育成,国産品種) |
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草刈作業機「e−スタイル・オフセットモア」の開発 | ||||
株式会社ササキコーポレーション 保土澤 定廣 | ||||
農地や農地の周辺の除草作業は,人力に頼るところが大きかったが,昨今の社会情勢から人手不足により高能率な機械化が望まれてきた。海外の大型機械は効率的には良いが国内トラクターには必ずしもベストマッチングではない等の問題があり普及が難しい等の問題があることから,小型トラクターから使用可能で,しかも機械作業熟練者でなくとも容易に使用可能である草刈作業機械を開発した。 (キーワード:小型草刈り機,高性能,ベストマッチ,容易な作業性) |
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飛躍的な軽労化を実現したにんにくの茎自動切断装置」の開発 | ||||
株式会社木原製作所 佐々木 新悟 | ||||
にんにくは収穫後乾燥させ,農家が剪定鋏で1個ずつ茎の長さを調整・切断する必要があり,膨大な時間と労力を要し,堅い茎の切断作業による腱鞘炎に悩まされていた。そこで,にんにくをカップに投入するだけで安全に茎の長さ調整と自動切断処理ができ,手作業に比べ4倍の作業効率を実現させた,にんにく茎自動切断装置の開発に成功した。また,茎切りしたにんにくを3種類の大きさに選別できる装置の開発にも成功し,出荷作業の飛躍的な軽労化に貢献した。 (キーワード:にんにく,茎自動切断装置,選別装置,軽労化,安全) |
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