Vol.11 No.8
【特 集】 地域農業を支える農業機械技術クラスター


農業機械技術クラスターの概要
農研機構 農業機械研究部門    大森 弘美
 農研機構農業機械研究部門では,先端・基盤研究の拠点機能,安全検査や安全研究の拠点機能,担い手のニーズに応じた開発改良の結節点機能を果たすための新たな農業機械化を推進する幅広い産学官連携のプラットフォームとして2018年に農業機械技術クラスターを立ち上げた。現場ニーズに基づく研究開発型の委託事業として,2022年度までに19課題が完了し,そのうち8課題で開発した機器が市販化され,1課題でモニター販売が行われた。また,標準化・共通化推進委員会および安全性向上委員会を設置し,研究開発とは異なる取組が必要な課題を調査・選定し,解決手段や推進体制の構築に関する検討を行っている。
(キーワード:農業機械,クラスター,ニーズ,コンソーシアム,地域農業支援)
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多雪地帯におけるリンゴ黒星病の
発生軽減を目的とした落葉収集機の開発
青森県産業技術センターりんご研究所    赤平 知也
農研機構    大西 正洋
(株)オーレック    谷山 英世
 リンゴ黒星病の耕種的防除対策として,伝染源となる被害落葉を容易に収集・排出できる落葉収集機を開発した。本機は同一カ所の走行回数2回で落葉の9割が除去可能であり,現地実証試験においても落葉を80%以上除去できる条件で走行した場合に作業能率は手作業の16〜34倍と高効率であった。また,リンゴ黒星病の子のう胞子飛散を抑制し,初期発生を低減できることも明らかとなった。本機の普及により伝染源となる被害落葉を効率的に除去できることから,リンゴ黒星病の発生低減に大きく寄与することが期待される。
(キーワード:多雪地帯,リンゴ黒星病,省力化,落葉収集機,発生軽減)
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急勾配対応のリモコン式小型ハンマーナイフ草刈機
農研機構 農業機械研究部門    青木 循
 法面における草刈作業を安全かつ省力的に行うため,最大斜度45°の急勾配法面において,繁茂した雑草をリモコン操作で刈ることができる小型のハンマーナイフ式草刈機を開発した。開発機は,市販リモコン草刈機や市販の歩行型草刈機の2倍程度の能率で作業を行えた。また,茎が硬く草丈の大きなセイタカアワダチソウが群生する平坦ほ場において,刈払機による人力作業の2倍以上の能率であった。
(キーワード:草刈機,リモコン,ハンマーナイフ,急勾配,法面)
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イアコーン収穫スナッパヘッドの開発
農研機構 農業機械研究部門    志藤 博克
岡山県農林水産総合センター 農業研究所    上田 直國
徳島県農林水産部 東部農林水産局    小川 仁
 輸入飼料価格の高騰を受け,国産濃厚飼料への要望が高まる中,イアコーンが注目されている。イアコーンは黄熟期でも収穫でき,関東以西で懸念される台風,カビ,雑草の繁茂等のリスク低減が期待できるが,高額な海外製大型機械が必要であり,都府県では運用が困難であるため,北海道等の一部に限られている。そこで,都府県のコントラクタに普及している汎用型飼料収穫機に着目し,専用のイアコーン収穫スナッパヘッドを開発した。都府県の脆弱な粗飼料基盤を圧迫しないため,露地野菜農家との連携により,茎葉を緑肥として,雌穂を酪農畜産側で利用する体系を提案し,その普及を図るために茎葉緑肥の効果を明らか にした。
(キーワード:イアコーン,コントラクタ,濃厚飼料,汎用型飼料収穫機)
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簡単で安全に作業ができるニンニク盤茎調製機
農研機構 基盤技術研究本部    小林 有一
 ニンニク盤茎調製機は,誰でも簡単かつ安全に盤茎調製(根すり)作業ができることを目指して開発された。調製機は,レバー操作で円錐状の刃物を盤茎に押し当てて切削する方式であり,熟練の技術を要せ ずに,作業者間での差を生じさせない作業が可能である。鱗片が6片程度で盤茎が円に近く,形状が整った,A品,B品に相当するものであれば,程良い根すりが可能である。鱗片の数が多く,一部が肥大し形状が 崩れているものなどでは切削不良が発生することがある。実作業を模した試験での結果,作業能率は約380 個 /h であった。
(キーワード:ニンニク,根すり,作業能率,簡単,安全,盤茎調製)
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2023(令和5)年度 農業機械技術クラスター実施課題の紹介
農研機構 農業機械研究部門    藤岡 修
 農業機械技術クラスターでは2023(令和5)年度に12課題を実施している。このうち5課題は今年度開始の新規課題で,残る7課題は前年度からの継続課題となっている。カテゴリー別では① 地域農業機械化支援タイプが5課題,②革新コア技術実用化タイプが2課題,③次世代革新基盤技術タイプが2課題,④新技術導入効果実証タイプが3課題となっている。
(キーワード:地域農業機械化支援タイプ,革新コア技術実用化タイプ,次世代革新基盤技術タイプ,新技術導入効果実証タイプ)
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