Vol.12 No.12
【特 集】 最近の農林水産研究開発関連施策の動向


食料・農業・農村基本法の改正について
農林水産省 大臣官房政策課    垰野 俊介
 食料・農業・農村基本法の制定から約四半世紀が経過する中で,食料をめぐる国内外の情勢が変化してきたが,これに対応して,国民に今後も食料を安定的に供給し続けていく必要がある。このため,食料安全保障の抜本的な強化,環境と調和のとれた産業への転換,人口減少下における農業生産の維持・発展と農村の地域コミュニティの維持の実現を目指し,食料・農業・農村基本法の改正が行われた。現在,改正基本法に基づく施策の具体化を行う基本計画の議論が進められている。関係各位の御理解と御協力をいただき,改正基本法で掲げた基本理念が実現に向かうことが期待される。
(キーワード:食料・農業・農村基本法,食料安全保障,農業の持続的発展,農村振興,食料システム)
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農業の生産性の向上のためのスマート農業技術の活用の促進に関する法律
(スマート農業技術活用促進法)
−スマート農業技術等の開発・供給の取組を後押しする開発供給実施計画−
農林水産省 農林水産技術会議事務局     飯田 聡美
 農業の生産性の向上のためのスマート農業技術の活用の促進に関する法律(以下「スマート農業技術活用促進法」という)は,スマート農業技術の活用と併せてこれに適した生産方式への転換を進め,スマート農業技術等の開発速度を引き上げるために開発が特に必要な分野を明確化し,その実用化を促進するための計画認定制度である。
 スマート農業技術等の研究開発に関しては,農業において特に必要性が高く実用化が不十分なスマート農業技術等を明確化し,これを実用化して技術体系を構築することにより,生産性の向上を達成しようとしている。
 特に必要性が高いスマート農業技術等を開発・供給を一体的に行う取組を,同法では,開発供給実施計画として位置づけ,計画の認定によるメリット措置を設けるとともに,予算について優遇措置が適用されるような方向性としている。これらの新制度や予算によって,より多くの関係者がスマート農業技術活用促進法に基づく研究開発や供給の取組に参画し,スマート農業技術等の開発速度が引き上げられることが期待される。
(キーワード:スマート農業,農業イノベーション,スマート農業技術活用促進法,RTKGNSS,ロボット)
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農林水産研究イノベーション戦略2024.
農林水産省 農林水産技術会議事務局    山口 知哉
 農林水産省は,関係省庁と連携した政府全体の取組により,中長期的な視点で取り組むべき研究開発や,生産現場が直面する課題を解決するための研究開発を総合的に推進している。
 人口減少下でも生産を維持する供給基盤の確立,スマート農業等による生産性の向上,みどりの食料システム戦略による環境負荷低減に向け,農林水産研究イノベーション戦略2024に基づく農林水産研究を推進する。
(キーワード:スマート農林水産業,みどりの食料システム戦略,持続可能で健康な食,バイオ産業市場)
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バイオエコノミー戦略−持続的一次生産システム−
農林水産省 農林水産技術会議事務局    吉川 光洋
 農業者の減少・高齢化や農村コミュニティの衰退は,生産水準が維持できる生産性の高い食料供給体制を維持することが困難な状況をもたらす。これは,必要な食料や生産資材に容易にアクセスできなくなる可能性を示すものであり,省力化や生産性の向上による安定した食料生産と供給体制を継続することは食料安全保障の視点からも喫緊の課題である。スマート農業の推進,新品種の育成,フードテックの推進等,バイオ技術を活用したイノベーション創出等により,課題解決に向けて官民が連携した技術開発の加速化,市場環境や事業環境の整備に取り組む必要がある。
(キーワード:バイオエコノミー戦略,スマート農業,みどりの食料システム戦略,フードテック)
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