Vol.14 No.5
【特 集】 第81回農業技術功労者表彰受賞者の業績


アスパラガス品種「さぬきのめざめ」の育成と
省力安定生産技術の開発による産地振興
香川県農業試験場    池内 隆夫
 さぬきのめざめ」は産地で「品種に優る技術なし」を体現し,施設アスパラガス栽培法の転換点をもたらした革新的品種であり,香川発ブランドとして産地振興に貢献している。本品種の特性を生かした栽培法として開発された「かがわ型アスパラガス栽培システム」(≒枠板式高畝栽培)は,香川県内にとどまらず,全国に広く普及しつつある。アスパラガス改植時の生育障害を大きく回避する「不耕起客土法」は,省力的で安定した改植法として香川県内で利用されている。西日本農業研究センターと共同開発した「NN ハウス」は,比較的低コストでありながら強度と高い換気性を有する施設として,香川県で導入開始され国内に波及している。
(キーワード:アスパラガス,品種,枠板式高畝栽培,不耕起客土,NN ハウス)
←Vol.14インデックスページに戻る

おうとう優良品種群紅シリーズの育成による産地振興
元山形県農業総合研究センター 園芸農業研究所    石黒 亮
おうとうの主要形質の遺伝様式を解明し,科学的かつ実践的な育種技術を確立することで,育種効率を向上させた。また,早生わせの「紅さやか」から晩生おくての「紅てまり」まで収穫期の異なる6品種からなる「べにシリーズ」の育成によって,「佐藤錦」偏重により6月中旬に集中していた収穫期は,5月下旬から7月中旬まで分散し,産地における労働負荷と経済的リスクの軽減が可能となった。
(キーワード:おうとう,優良品種開発,紅シリーズ,気候変動,産地振興)
←Vol.14インデックスページに戻る

施設果菜類に発生する病害虫に対する
宮崎方式総合防除体系の開発と普及
宮崎県総合農業試験場     黒木 修一
 宮崎県では,施設栽培においてIPM(総合的病害虫・雑草管理)導入が課題となった。これを受け,1990年代から天敵や微生物を活用した総合防除体系を開発し,普及を図った。健全な作物育成を基礎として,微生物殺菌剤および微生物殺虫剤の利用,天敵補助資材(紙コップ)および天敵を段階的に導入する「宮崎方式ICM(総合的作物管理)」を確立した。促成ピーマンおよび促成キュウリでは化学農薬の使用と防除に要する労働時間を削減し,キュウリではウイルス対策としても有効である。化学農薬との併用を許容し,農業者が理解しやすい体系としたことで,その技術は広く普及している。
(キーワード:施設栽培,天敵,微生物,IPM,ICM)
←Vol.14インデックスページに戻る

抗病性等を改良したデュロック種豚
ボーノブラウンの開発と普及
岐阜県畜産研究所    吉岡 豪
 市場調査により霜降り割合の高い種豚を特定し,その種豚を用いて第7と第14染色体上の霜降りに関連する量的形質遺伝子座を同定,固定することで,高い霜降り割合を有するデュロック種豚集団「ボーノブラウン」を開発した。ボーノブラウンと飼料中リジン調整技術を組み合わせ,銘柄豚「ボーノポーク」として地域ブランド化を推進した。しかし2018年の豚熱発生により種豚を失ったため,再造成に際しては肉質に加えて強健性を付与することとし,豚離乳後多臓器性発育不良症候群による死亡と関連するゲノム領域を発見し,EIRと命名し特許化した。現在,EIRを持つ新生ボーノブラウンの供給を再開し,地域養豚産業の再建に貢献 している。
(キーワード:デュロック種,霜降り割合,リジン,抗病性)
←Vol.14インデックスページに戻る