Vol.14 No.7
【特 集】 国内肥料資源の活用にむけて�機讐漆絮�泥の肥料利用促進―


堆肥や下水汚泥等国内資源の肥料への活用について
農林水産省農林水産技術会議事務局 研究推進課    竹内 和哉
 我が国の農業は肥料原料の多くを輸入に依存しており,近年の国際情勢により価格高騰や供給不安が顕在化した。これを受け政府は食料安全保障強化を掲げ,化学肥料の使用削減や国内資源(堆肥・下水汚泥など)の活用拡大を推進している。家畜ふん尿や下水汚泥は有効な地域資源である一方,流通・品質・安全性などに課題があり,実証事業を通じて技術開発や広域利用の確立を進め,持続可能な農業への転換を目指している。
(キーワード:堆肥,下水汚泥,肥料,国内資源,実証)
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汚泥肥料の肥効特性と肥効予測アプリの開発
農研機構農業環境研究部門 土壌環境管理研究領域    井原 啓貴
 従来から汚泥肥料の肥効特性の概要は明らかになっていたが,現在製造されている肥料製品の特性や気象条件などをふまえた肥効予測が広く活用されるには,課題があった。そこで,全国から汚泥コンポストや乾燥汚泥などを収集して,養分含量やその肥料からの溶出特性を調査し,その結果をもとに,汚泥肥料などを畑に施用した際の,養分(窒素,リン酸,カリウム)の供給量を試算するアプリを開発,公開した。このアプリは全国土壌図を提供するウェブサイト「日本土壌インベントリー」と連動しており,地図上で選択した農地の地温や土の性質を考慮した窒素肥効の試算などができる 。
(キーワード:汚泥肥料,肥効予測,アプリ,窒素,リン酸)
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下水汚泥由来濃縮バイオ液肥の製造と高度利用
―回収リン資源MAPを活用した液肥設計―
Biosty株式会社    矢部 光保
 下水汚泥や消化液を原料とし,その肥料成分を分離・濃縮したBio-CLF(濃縮バイオ液肥)と,回収リン資源であるMAP(リン酸マグネシウムアンモニウム)由来の液状MAPを開発し,その農業利用・市場性・事業性を検討した。Bio-CLFと液状MAPを施用した水稲,ピーマン,ハクサイの実証栽培では,慣行施肥と有意差のない収量を示した。Bio-CLFで栽培されたスイカを対象とした消費者調査では,試食と情報提供により,下水資源由来農産物に対する受容性が向上した。さらに,消化液処理について従来方式と比較した結果,Bio-CLF化により年間コスト削減とGHG排出量の16%削減が示された。
(キーワード:資源循環型農業,消費者受容性,温室効果ガス削減,事業性評価,養液栽培)
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焼酎粕と組み合わせた新下水汚泥肥料の
安定生産技術の開発および実証
農研機構九州沖縄農業研究センター 暖地畑作物研究領域    新美 洋
 鹿児島県に発生する下水汚泥と地域特有の未利用有機性資源である焼酎粕(かす)を原料に,造粒汚泥肥料(園芸作用・かんしょ作用)と茶栽培用汚泥肥料の3種類の粒状肥料を開発した。 新肥料を施用してキャベツ・バレイショ・スプレーギク・かんしょ・茶の栽培試験を実施した結果,リン酸・カリを原則全量代替,窒素はかんしょで全量代替,その他の作目では50%代替で,全作目で慣行 区と同等の収量および品質が得られた。一酸化二窒素発生量や肥料・土壌・作物の重金属含量は基準を大きく下回った。開発期間中もイベント主催・出展や地域生産者との意見交換会,試供品の配 布など,新肥料の安定供給と需要拡大に向けた取り組みを数多く実施した。
(キーワード:汚泥肥料,焼酎粕,造粒,キャベツ,バレイショ,スプレーギク,かんしょ,茶)
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神戸市の資源循環型農業の推進について―資源循環「こうべ再生リン」プロジェクト―
神戸市経済観光局 農政計画課    佐藤 大輔
 リンは,窒素,カリウムとならび肥料の三大要素の一つで,農作物の栽培には欠かせない資源である。しかし,日本ではその多くを輸入に頼っているため,近年国際情勢の影響によりリンの輸入価格が高騰しており,食料安全保障の観点から国内資源の有効活用に対する重要性が高まっている。
 神戸市では,下水を処理する際に発生する汚泥からリンを回収し,「こうべ再生リン」として肥料利用する取り組みを2011年から行っている。
 また,市民への本取り組みの普及啓発,さらに農産物の付加価値化をめざし,「こうべ再生リン」由来肥料を使って栽培された野菜や米は,「BE KOBE 農産物」として販売されているほか,市内の学校給食にも活用されており,地域資源循環型農業を推進している。
 取り組みをさらに進めるため,これまでの2基のリン回収プラント(東灘処理場,玉津処理場)に加え,市内3基目となるリン回収設備を建設し,「こうべ再生リン」の生産能力を確保するとともに,肥料の種類も増やし,市内だけでなく新たに市外・県外への供給も検討し,資源循環の輪を全国に広げていくことを目指している。
(キーワード:資源循環,こうべ再生リン,下水汚泥の活用,食料安全保障)
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つるおかコンポストによる地域内資源循環
鶴岡市下水道部 下水道課    佐藤 拓哉
 地域資源を農地に還元させることを目的として,鶴岡市では浄化センターの汚泥ともみ殻を使って肥料を生産し,JA 鶴岡や農業関係と連携して「つるおかコンポスト」として販売している。山形大学と共同で栽培試験や成分分析を実施し,安全性や有用性をPRしている。2026年から新汚泥資源化施設の運転開始を予定しており,生産量が現在の約3倍に増加する。下水道に集まる資源は地域の資源として還元させていくため,研究体制を構築している。
(キーワード:下水道資源,汚泥,コンポスト,BISTRO 下水道,産学官連携)
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