Vol.14 No.8
【特 集】 国内肥料資源の活用にむけて�供讐斑椶佞鸞枠遒離撻譽奪伐修砲茲觜�域流通―


堆肥や下水汚泥等国内資源の肥料への活用について(再掲載)
農林水産省農林水産技術会議事務局    竹内 和哉
 我が国の農業は肥料原料の多くを輸入に依存しており,近年の国際情勢により価格高騰や供給不安が顕在化した。これを受け政府は食料安全保障強化を掲げ,化学肥料の使用削減や国内資源(堆肥・下水汚泥など)の活用拡大を推進している。家畜ふん尿や下水汚泥は有効な地域資源である一方,流通・品質・安全性などに課題があり,実証事業を通じて技術開発や広域利用の確立を進め,持続可能な農業への転換を目指している。
(キーワード:堆肥,下水汚泥,肥料,国内資源,実証)
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牛ふんを活用した低コストペレット製造技術と広域流通
農研機構 九州沖縄農業研究センター    福重 直輝
 実証試験地の堆肥センターでは,水分調整(乾燥)・粉砕・異物除去からなる前処理工程の処理能力が低く,ペレット成型機の処理能力を十分に活用できないことから,製造効率が著しく低下していた。RPF 燃料を用いた温風乾燥システムの導入により,天候に左右されない乾燥と水分の均一化が可能となった。さらに水分調整の最適化や工程順の見直し,電流値制御による成型工程の安定化を図り,オペレーターの経 験差に依存しない生産体制を構築した。その結果,原料ロスの低減と安定生産が実現し,製造効率向上と製造コスト約3割削減の効果が確認された。
(キーワード:牛ふん堆肥,ペレット化,乾燥・前処理工程の最適化,広域流通)
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牛ふんを用いた指定混合肥料の広域流通と耕畜連携体系の確立に向けた実証
農研機構 畜産研究部門    田中 章浩・小島 陽一郎
 牛ふん堆肥の広域利用拡大には,運びにくさ・撒(ま)きにくさ・原料品質のばらつきが障壁となる。本稿では,牛ふん堆肥を原料とする指定混合肥料(粒状化肥料)について,原料堆肥の低水分化,造粒工程の生産性向上,肥効評価,帰り荷を活用した流通モデルの構築を一体で実証した成果を整理する。実証の結果,改質堆肥は含水率50%以下を通年で達成した。粒状肥料は円錐(えんすい)ローラー導入等により生産性が従来比113%となり,目標製造コスト50,000円/t 以下を達成した。さらに帰り荷活用により輸送費9,892円/t を見込めることを示した。今後は原料品質安定化,耐摩耗性,臭気・吸湿対策,制度面の整理が普及の鍵である。
(キーワード:牛ふん堆肥,指定混合肥料,粒状化,広域流通,帰り荷,耕畜連携)
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豚ぷん堆肥ペレットの広域流通促進システム
特定非営利活動法人九州バイオマスフォーラム    薬師堂 謙一
 縦型コンポで生産された豚ぷん堆肥をもとに,作物別に混合堆肥複合肥料や特殊肥料入り指定混合肥料を生産し,広域流通させるシステム開発を行った。縦型コンポで生産された堆肥は,発酵品質は中熟(ちゅうじゅく)で臭いもあるため,水分40〜45%に加水して1か月程度追熟させる。この堆肥を篩(ふるい)選別,ハンマーミル粉砕,(成分調整混合),成型処理し,建築廃材薪(まき)を用いた低コストの仕上げ乾燥システムで,水分10%以下に乾燥させるシステムを構築した。混合堆肥複合肥料として白ネギ,甘藷(かんしょ),トマト,水稲,ブロッコリー,ピーマン,ミカンを,同バルクブレンド品で中晩柑(ちゅうばんかん),ブロッコリー,馬鈴薯(ばれいしょ)を,特殊肥料入り指定混合肥料として玉ねぎ,レタスを栽培し,慣行栽培と同等の収量,品質のものが得られることを明らかにした。
(キーワード:豚ぷん堆肥,追熟,ペレット化,仕上げ乾燥,混合堆肥複合肥料,特殊肥料入り指定混合肥料)
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鶏ふん堆肥入り高品質ペレットの開発・普及に向けた取組
株式会社ユーグレナ    井上 陽介
 国産資源である鶏ふん堆肥の有効活用と広域流通促進を目的に,鶏ふん堆肥に関わるサプライチェーン全体を対象とした3カ年実証を実施した。具体的には鶏ふん堆肥の水分調整技術,堆肥入りペレット肥料の製造,10件以上の栽培試験や200件以上のアンケート調査などを行い,特に鶏ふん堆肥入り肥料を用いた栽培試験では慣行肥料と同等以上の生育・収量を得られることを確認した。また耕種農家へのヒアリング結果を踏まえた消臭対策の検証や側条施肥可能な小径ペレットの開発なども行い,一定の成果を上げることができた。一方,特に夏場の鶏ふんにおける水分調整技術の確立については今後の課題となった。
(キーワード:鶏ふん堆肥・ペレット肥料・微細藻類・機械施肥・消臭対策)
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「有機質資材の肥効見える化アプリ」の活用による
化学肥料使用量の低減
農研機構 農業環境研究部門    古賀 伸久
 有機質資材の特性値(ADSON)と地温等の土壌条件に基づき養分供給量を予測する「有機質資材の肥効見える化アプリ」を開発した。本アプリは畑・水田・茶園に対応し,簡便な操作で有機質資材由来の窒素,リン酸,カリの供給量を把握できる。17道県と連携した実証試験において,化学肥料を42〜52%削減しつつ慣行栽培と同等かそれをやや上回る収量を確保し,その有効性が確認された。
(キーワード:有機質資材,ADSON(酸性デタージェント可溶有機態窒素),窒素肥効,見える化アプリ,化学肥料低減)
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豚ぷん堆肥ペレットを配合した肥料による
露地野菜および果樹における栽培実証
長崎県農林技術開発センター     大井 義弘・荒牧 貞幸・中村 駿介
 国際情勢の変動に伴い,化学肥料は価格高騰および供給不安定化が顕在化しており,国内資源の有効活用が重要な課題となっている。本研究では,豚ぷん堆肥ペレットの肥料成分を考慮した特殊堆肥入り指定配合肥料(BB 肥料等)を開発し,露地野菜(ブロッコリー,バレイショ等)および果樹(ウンシュウミカン,中晩柑類)において栽培試験を実施した。
 その結果,開発した肥料は慣行肥料と比較して同等の収量および品質を確保できることを確認した。また,収穫後土壌においてリン酸やカリウム等の塩基類の顕著な蓄積は認められなかった。以上より,豚ぷん堆肥ペレットを配合した肥料は,化学肥料成分の低減に利用できる資材として有効であることが示された。
(キーワード:豚ぷん堆肥,BB 肥料,配合肥料,露地野菜,ウンシュウミカン)
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