カレハガ科。日本全国に分布。終齢幼虫は体長75mmに達する大型の毛虫で、俗にマツケムシと呼ばれています。幼虫は成長すると背面は銀色に光り、
胸部の背面には藍黒色の毛束の帯が目立つようになります。そして、触れるとこの部分の黒い毒針毛が皮膚に刺さります。毒性はドクガほど強くありませんが、
刺されると激痛があり、あとが腫れ上がります。痛みや腫れはすぐなくなりますが、かゆみは1〜2週間くらい続きます。
アカマツ、クロマツ、ヒマラヤシーダなどの大害虫として知られ、ときどき大発生して問題になります。
年1回発生し、成虫は7〜9月ころ出現してマツ類の葉や枝に 200〜500 個もの卵を産みます。間もなく孵化した幼虫は針葉を食べ、
10月下旬までに体長20mm内外の5齢に育ち、幹から下りて根際や落ち葉の下などで越冬します。このとき幹に藁などを巻いておくと幼虫が潜り込みますので、
冬にこれを集めて燃すのが有力な防除法になり、公園などでよく見られるマツの巻き藁はこの目的のためのものです。翌年の4月ころから幼虫は再び樹に登り、
針葉を食べ続け、さらに3回脱皮して8齢幼虫となり、6〜7月ころに葉を綴って灰褐色のマユを作ってサナギになります。
マツ類は庭木としてもかなりの大きさになることが多く、一般家庭では殺虫剤による防除が難しく、長い竹ざおの先のボロ布に火をつけて焼き殺す方法がよく取られますが、
これで火事になったケースもあり、一般家庭では多少の被害には目をつぶり、やはり秋に巻き藁で防除した方が無難です。本種の毒針毛はドクガ類とは違い、
刺さった毛束が肉眼で見えますので、刺されたときはピンセットとセロテープでていねいに除去するようにします。
なお、カレハガ科の仲間には本種と同様な毒針毛を持つ大型の毛虫が何種かいますが、庭に発生する種類としてはほとんどがマツカレハです。
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