※クリックすると大きな画像をご覧になれます。 |
東京農業大学の山本出教授は、虫のオブジェの隠れた同好の士で、ぼくとの間には「持ちつ持たれつでゆく」という美しい協定が成立している。
このカマキリは、氏が、1980年にバリ島で求め、“協定”の第1号としてぼくに下賜されたものである。当時、バリ島ではただ1軒のみやげもの店ながら、
同形のものを数多く見かけた由で、氏はこれと同じ白木製のものも所蔵しておられる。その後ぼくもこの地で再三にわたって探索したが、ついに発見できず、
いまでは幻のオブジェである。びっくりするほど洗練された独創的な造形といえよう。黒檀製、高さ28cm。
なお、こうした“カマキリたち”はインドネシアにかぎらず、日本から東南アジアを経由して遠くアフリカまで見られる。ちなみに、日本の最古の“カマキリ”は銅鐸の模様に用いられたものであるし、
世界最古のそれは紀元前500年にギリシャで使われたコインの図柄である。何となくそこには壮大な「カマキリ文化圏」の存在が感じられてならない。
|