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燭台の歴史はローマ時代にさかのぼり、とくにルネッサンス末以降は材質もデザインも華麗を極めるようになったが、さすがに虫をモチーフにしたものは珍しい。
今回紹介のチョウ飾りの方は、虫仲間の正木進三先輩の1987年の韓国みやげ。灯火に飛来したガのイメージだが、モデルはアゲハチョウらしい。銅製で高さ25cm。
アリの方は、このところライバルから協力者に変貌しつつある河合省三氏からの到来品で、氏が2001年にジャカルタ空港売店で採集したもの。良くできているが、
アリと燭台との因果関係は不明。鉄製で触角を含むアリの体長9cm。
ところで、燭台に灯してあるローソクは、イボタロウムシの分泌する白蝋で試作したものである。白蝋は燃やしてもススの出ない純白のロウで、
パラフィンが現れるまで日本でも国産品のほか中国から大量に輸入され、ローソクや戸滑りなどに多用されていた。ここ十年来、河合氏とぼくは、
その近代産業への利用開発研究の指導のため、白蝋の主産地である中国にしばしば出向く機会を持っている。そして、二人とも中国林業科学研究院の名誉教授の肩書きをいただいたのをいいことに、
研究指導の方はさておき、中国の虫のオブジェだけは急増したという因縁をもつ。
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