写真提供:新潟県下田村 渡辺英男氏
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指定されているのはニホンカモシカ(亜種)。シカ科ではなく、ヤギに似た反すう偶蹄類ウシ科に属する日本固有種。
本州(中国では絶滅)・四国・九州の標高1,500〜2,000mのけわしい山岳地帯、特に東北地方から中部山系の混交樹林に生息する高山獣。
特別天然記念物に指定された昭和30年(1955)には3,000頭と推定されていたが、天敵のニホンオオカミが絶滅したこともあって生息数が増加する一方、
生息域が拡大造林政策によって大量に生み出された幼齢造林地と重なり合うことになった。その結果、幼齢木の芽・皮や草だけでなく畑作物まで餌にするようになり、
50年代に入ったころから青森県・長野県・岐阜県などで造林地や畑地での食害が大きな問題になった。53年(1978)には7万5千頭にまで増え、被害も各地に広まった。
体には白色の綿毛が密生し、その上を黒褐色または淡赤褐色で7〜10cmの上毛が覆っている。緯度が高くなるにつれてその色がうすくなる傾向があり、
東北地方では白色に近い個体も見られる。脚はずんぐりとして太短く頑健で、蹄が二つに分かれていて走ったり斜面を歩くのに適している。
一見緩慢ながら崖をすばやく駆け上がる。
群れを作らず、それぞれが一定の行動範囲に定着している。1頭の行動圏は雄15ha、雌10ha。縄張り意識が強く同性に対しては排他的だが、
雄と雌で縄張りが重なっているとつがいになり、この関係が長く続く。
繁殖期は10月に始まる。雄はすぐ離れてしまい、雌は半年後の春から初夏に1頭出産し1年間は子連れでいる。寿命は15年。
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