戦前から戦後にかけて子供の玩具はブリキ細工が主流であった。最近はこれが好事家の間でブームを呼び、骨董品に驚くほどの高値が付けられ、
相次いで図集なども刊行されている。今回のセミは当時駄菓子屋などに置かれた“1銭玩具”で、ピンからキリまであるブリキ玩具のなかでも限りなくキリに近いものである。
当時小さいものがグリコのおまけになったこともあるが、上記の図集などにも収録されていない。写真のように裏にハガネの舌があり、
それを押すとペコペコ音がする……ただそれだけの玩具である。これは最近つくば市のレトロ玩具の露店で“発見”した複製で、4色4種類あり、1個100円。
ぼくはこれが現代によみがえったことにいたく感動して思わず目がうるんだ。「だれぞ知ろうこの熱き思いを」の心境であった。セミの体長58mm。
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