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北京の天安門広場を南に下ると、かつて宮殿の瑠璃瓦を焼く窯のあった瑠璃廠という小路がある。
その後、清朝の初めころからは書画・文具街として名を馳せ、現在はそれに加えて工芸・骨董品の街として知る人ぞ知る穴場となっている。
ぼくのたまらなく好きな場所で、この蜂の巣も1993年の秋に訪中したおりにここで“発見”したものである。素材は浙江省の青田で産出し、
色の違う層を彫り分けてさまざまな工芸品が作られている青田石である。この蜂の巣も同じ1個の石塊で作られ、淡赤色の部分でハチ、
黒灰色の部分で巣と裏面に木の枝、褐色の部分で場違いなカタツムリが彫り出してある。ハチのモデルはアシナガバチの仲間と思われる。
巣房から頭を出した羽化途中のハチまで配置したキメの細かさで、製作に2カ月かかったという。そうした名もなき作者の努力に対して申し訳なかったが、
5万円の言い値をその3分の1くらいで……。大きさは巣の長径140mm、ハチの体長26mm内外。重量約700g。
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