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蝉の土笛と土鈴

(日 本)


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 大昔の1950年正月、東京の渋谷のデパートで、ある好事家の玩具のコレクションが売りに出された。当時学生だったぼくは、 まだ虫のオブジェに関心はなかったが、この道の大先達の長谷川仁氏に誘われて、この即売会へ出向いた。この年代物の土笛と土鈴はそのとき何の気なしに求めたもので、 価格はタダ同然だったと記憶している。

 土笛(写真上)の方は体長53mm、吹くと「ビービー」とセミらしくない声で鳴く。土鈴の方は体長50mm、振ると「ガラガラ」とサエない音を出す。 ともに長く由来不明であったが、土笛は数年前に長谷川仁氏所蔵の「虫の玩具の手描き絵はがき」(故江崎悌三先生旧蔵)により、静岡地方の古い郷土玩具であることを知った。 土鈴の方はセミの研究家の橋本洽二氏が土鈴の専門家に照会してくださったが、ルーツは依然不明のままである。ただ、土鈴は音響の関係で球形が基本の由で、 その点これはゲテモノに属し、残念ながら土鈴学?的興味は薄いとのことであった。



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