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北京の壮大な故宮は見る者を圧倒するが、中身の膨大な宝物の大半は、現在台湾の故宮博物館の方にある。
それは世界の至宝の名に恥じない工芸品で満たされ、旧帝王の権力もさることながら、中国の工芸技術の水準の高さを誇っている。
そしてそのひとつに象牙やヒスイ製の「白菜と鳴く虫」がある。現在も中国各地で牛骨製の模造品が売られているが、
それらは品位に欠けた見るにたえない雑な細工でとても手を出す気になれない。
しかし、今回のものは全長わずか8cmのミニチュアながら、1995年8月に、北京の瑠璃廠の骨董店でみつけた逸品である。
欲をいえば彩色がややケバケバしい点がぼくの好みではないが、象牙の一体彫りで、その繊細な作りには伝統の名人芸を忍ばせるものがある。
「300年以上前の清朝初期のもの」(店主談)は真偽不明だが、日本円で3万円という言い値はあまりに安価で、かえって現代のものではないことの証左とも思えた。
ちなみに、実際の購入価格はその3分の1。
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