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16世紀にスペインのコルテスに滅ぼされたアステカ帝国は、壮大な独自の文明を築きあげていた。太陽は人間の生贄の血で運行すると信じられ、
大量殺人が日常的に行われていた異文化である。1974年、東京のデパートで開催された「アステカ文明展」では、そうした不気味さを伝える多くの遺物に混ざり、
体長47cmの赤い色のバッタの石像が展示された。古来、飛蝗の被害は神のなせるワザで、アステカではバッタにも神格が与えられていたらしい。
バッタのモデルは新大陸に広く分布するアメリカトビバッタSchistocerca americanaと思われる。
今回のものは、前記文明展の売店で売られた素焼き手作りのそのミニチュアであるが、ぼくが行った時はタッチの差で、
書誌学者の小西正泰氏に最後の1個を買い取られた後であった。体長21cm、中空で細部も実物とは異なるものの、重量感のある作品である。
なお、これはごく最近、本草関係の古文書との等価交換で、所蔵者が小西氏からぼくに円満に移った。めでたい。
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