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書の道具の本場中国でも、虫型のそれはさすがに少ないが、前回の硯や今回の墨と水滴のように“蝉”だけは散見される。
とくに蝉墨は普通種で、日本の中国物産展でも見かけることがある。数種類の個体変異があり、体長約7cm、ガラス張りの化粧箱入りで、
価格は場所や店によって3〜30元(約50〜500円)とメチャクチャである。友人の中国土産もこれが多いため、ぼくはこの墨をシコタマ持っている(誌上を借りて……もういらない)。
一方、水滴の方は陶製で体長5cm。1997年の春に、北京の瑠璃廠で発見した、清代後期の政府証明書付きの骨董品。高価で逡巡し、再訪して交渉したため、
足元を見すかされ、店の言い値で買わされた。
余談だが、恥ずかしながらぼくは悪筆で、昔、ぼくの礼状を「子供に書かせた」と怒った教授がいたほどである。ワープロの登場を泣いて喜んでいるものの、
せっかくの蝉の書道具で遅ればせながら習字の練習でも……と、思わぬでもない。思っているだけだが……。
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