1989年、虫仲間の坂井道彦氏からの英国みやげ。鉄製の鋳物で、体長26cm。モデルはカミキリムシに違いないが、それにしては触角の形がいかにも異様である。
いったい何に使うものなのか? ぼくの友人にこのクイズの正解者はまだいない。実は傾斜した虫体を片足で抑え、U字形の触角に一方の足の長靴のカカトをはさんで脱ぐための道具で、
英国の伝統的な実用品である。たまたま馬術に凝っている愚息が、同じものが日本の馬具店でも売られていることを教えてくれた。早速入手したが、国産のそれはいかにも模造品然としたアルミ製の安手の鋳物で、
とても“本家”の足下にも及ばないシロモノであった。
元祖・長靴脱ぎ
(大英自然史博物館蔵)
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