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春日山(かすがやま)原始林



所在地:奈良県奈良市春日野町
指定の経緯:
 大正13年(1924) 12月9日天然記念物指定、昭和30年(1955) 2月15日特別天然記念物指定(基準:植物(2)、代表的原始林・希有の森林植物相)


春日山原始林
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 奈良市の東部、春日大社の背後にあって、山並みにひときわ美しい稜線を描いているのが春日山。三つの峰を有する連山で、最も高いところが標高500m。

 指定されているのは、春日山全体と、東に連なる花山(470m)の南部・東部の298haで、国有林。

 春日山は古来春日大社の神山で信仰の場とされ、平安時代前期の841年以来、樹木の伐採が禁じられてきたため原始性が保たれてきた。

 うっそうとした林相は、暖帯性の常緑広葉樹(カシ・シイ類など)・つる性植物(フジ・カギカズラなど)・シダ植物(ウラジロ・イワヒメワラビなど)に、 温帯性や寒帯性の植物が混生し、800あまりの樹種からなる。主要部はツブラジイ(コジイ)林で高さ22m。林内にはシカが自由に出入りできるため、 非喫食性の植物が多い。

 点在する春日スギは、直径1m以上、樹齢250〜400年のものが多く、最大の「公園大スギ」は直径2.8m・幹周り8.8m、樹齢1,000年以上。 優雅で通直の細かい木目、赤褐色で渋味のある色調など材質がきわめて優れ、観賞価値の高い銘木。

 明治4年(1871)に国有地となり、19年(1886)に奈良公園に編入された。

 この原始林は、厳密な意味での原始林ではない。16世紀には豊臣秀吉によって1万本のスギが植えられたり、台風で壊滅的な被害を受けたとき在来種が補植されたりして、 ある程度手が加えられてきた。しかし、都市近郊ながら特異な林相の原始林がよく保存されているのは希有な例。


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