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屋久島は、周囲132km・東西28km・南北24km、面積501km2。中心部に九州最高峰の宮之浦岳(海抜1,935m)をはじめ1,000mを超える山々が連なり、洋上アルプスの観を呈する。
気候は、海岸付近の亜熱帯から山頂付近の冷温帯まであって、年間降水量は平地で4,000mm、山岳部では10,000mmに達する。高山では冬季積雪がある。
このような自然条件が豊かな植物相を育み、海岸付近の亜熱帯照葉樹林、海抜1,000mまでの暖温帯照葉樹林、1,700mまでの針広混合林、
そして山頂付近の亜高山性低木・荒原と植生が垂直分布し、まさに日本の縮図。50余の固有種を含む1,500種が自生。
天然スギは海抜650~1,850mの間に生育。天然スギ林とされるのは700~1,700mの範囲。純林を形成することなく、モミ・ツガ・ヒノキなどの針葉樹と混生し、
比較的平らな尾根筋や斜面のくぼ地、小さな流れの始まる小沢地などに多く見られる。
また、1,000~1,200mは植生の移行帯で、天然スギは、1,000mあたりから上ではヤマグルマ・ハリギリ・ヤクシマシャクナゲなどの夏緑広葉樹と混生する一方、
1,200mあたりまではヤブツバキ・アカガシ・ウラジロガシなどの常緑広葉樹(照葉樹)とも混生している。
天然スギのうち樹齢が1,000年以上(胸高直径1.6m以上)のものをヤクスギという。樹幹にこぶがあり、樹皮は灰色をしていて光沢に富み滑らか。
一方、樹齢が1,000年未満のものはコスギといい、樹幹が通直、樹皮は茶褐色で粗い。
天然スギは、台風などで倒れた原生木に陽が当たって若木が育ったり(倒木更新)、伐採された切株から再生したり(切株更新)したものであり、
地面から直接発芽しても育たない。樹高がせいぜい30mで、太さの割に低い。この島が台風常襲地帯にあるため、高さ20~30mのところで風折れを繰り返して主幹を損ない、
複数の枝を立ち上がらせて強風にも耐えられる樹形になる。生長は非常に遅いが、樹齢500年でも中心部が空洞化せず、長命なため巨大化する。
材は、年輪が詰まっているため木目が緻密で美しく、本州のスギの6倍以上という多量の樹脂を含んでいて腐りにくく香りが強い。
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