ハチミツは古代人にとって、ほとんど唯一の甘味資源であった。そして、飼育によって家畜化された世界最古の昆虫でもある。
日本でも、『古事記』の中にすでにミツバチ飼養の記録が見られるが、江戸時代には幕府の奨励策もあり、養蜂(ようほう)が活発化し、
また、幾多の飼育技術も開発された。
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第30回
国際養蜂会議 記念郵便切手
S60.10.10〜16
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もっとも、そのころ用いられていたのは、在来の黒っぽいニホンミツバチであったが、明治9年(1876)にアメリカから黄色のセイヨウミツバチが導入され、
在来種の方は急速に見捨てられていった。さすがに“西洋”は養蜂の歴史も「家畜化」の度合いも違っていた。飼育しやすさ、集蜜(しゅうみつ)力、繁殖力、
定着性など、どれをとっても、“日本”に数段まさっていたのだ。
ニホンミツバチは、今日では野外で見かけることも少なく、その絶滅が憂慮される状態になっている。現在もニホンミツバチは、九州や四国の山間部で、
昔ながらの手法で細ぼそと飼い続けられているものの、もはやこれが養蜂の主役に返り咲くことはない。
一方、この在来種は、集蜜力こそ劣っても、低温で活動できる特性を持つ。とくに低温期に開花するウメやスモモの授粉にはぜひ主役として活動してもらいたいハチである。
最近ようやく、人為的に追いやられたニホンミツバチの復権をめざす動きが始まっている。
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民家の屋根裏に造巣した
ニホンミツバチ
(通常は木の洞などに造巣するが、これは珍しいケース。つくば市で撮影)
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[朝日新聞夕刊「変わる虫たち」,(1989.2.15)]
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