写真提供:奄美ネイチャーセンター 川口和範氏
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奄美大島と徳之島にのみ生息する1属1種の日本固有種。現在生息しているウサギ科のなかで最も原始的な体型をしており、
中南米のメキシコウサギ・南アフリカのアカウサギとともにムカシウサギ亜科の「生きた化石」。
全身が黒褐色の縮れた粗い毛で覆われているが、腹はやや淡い灰褐色。本土に生息するノウサギに比べると、頭胴長は47cmで同じくらいだが、
目と耳介が小さく(耳長4〜5cm)、鼻や尾が短い(尾長2〜3cm)。手足は短く、前足の1〜2cmある爪はよく発達していて穴を掘るのに適している。
後足はばねがきかない。体重2kg。飼育下での寿命は15年。
山間部の常緑広葉樹の自然林を中心に、造林地やススキの茂る原野などに小集団で生息。夜行性で動きはのろい。行動圏は2〜3haで、ねぐらの巣穴から100〜200mの範囲を移動。
鳴き声で合図する。
巣穴は、樹洞や岩穴を利用したり、斜面の大きな石の下や大木の根元などに長さ3〜4m掘って作る。入口から2mの通路の奥に直径1.5mくらいの巣室がある。
繁殖は春と秋の2回。ねぐらとは別に長さ1mの土穴を掘って産室とし、1回に1〜2頭の子を産む。そこは、母親が夜間授乳に来るときのほかは土やコケで巧みにふさがれ、
中央に小さな空気孔が開けられているとか。子は2か月で巣穴から出る。
植物食でアカメガシワ・シイ・イヌビワなどの芽・樹皮・実、それにススキを好み、サツマイモの葉・つるも食べる。
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