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イリオモテヤマネコ



所在地:地域を定めず(主な生息地:沖縄県)
指定の経緯:
 昭和47年(1972) 5月15日天然記念物指定、52年(1977) 3月15日特別天然記念物指定(基準:動物(1))


イリオモテヤマネコ
写真提供:西表島自然塾 村田行氏

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 沖縄の最南端、八重山諸島の西表島(いりおもてじま)だけに生息する日本固有種の野生ネコ。

 形態から2千万年〜5百万年前に中国大陸で繁栄していた古代ネコの生き残りとされていたが、DNA鑑定によって、 現在東南アジアからシベリアまで広く分布しているベンガルヤマネコの亜種とみられるようになった。島嶼になる前の古い時代の遺存種「生きた化石」。

 イエネコよりやや大きく、頭胴長55cm・尾長23cmで、体重は雄が4kg・雌が3kg。頭部はイエネコに比べると細長く、頭頂部から鼻先にかけて直線的で、 鼻鏡も大きく、真横から見るとトラやライオンに似る。耳の先端は丸くてイエネコのように尖らず、房毛もない。手足は短くずんぐりしていて、 爪は引っ込めたときもイエネコのようには完全に隠れない。尾は太い。体毛は太い剛毛で、イエネコのように柔らかくない。

 体色は、背・足・尾が暗い灰褐色、下顎・胸・腹部が淡色。体の側面にはっきりしない暗色の斑点が不規則に、胸部には黒い斑が帯状に並ぶ。 前頭部から首の背面にかけて黒色の縞が5本。目の周りは白色に縁取られ、その下から頬にかけて黒い帯。頬には個体ごとに異なる複雑な黒色の斑。

 生活圏は標高200m以下の森林周辺部・低湿地・海岸で、農耕地のある人里に近いところも含まれる。主に地上で生活するが、樹上にも生活の一部がある。 主に夕方から朝方の比較的遅い時間まで行動する。俊敏さはない。泳ぎが得意とか。

 ネズミ・トカゲ・カエル・魚・昆虫・鳥類(とくに水鳥)などを捕食する。

 普通単独で行動し、2〜4月ころになると雄と雌が共に行動する。5〜6月ころ2〜4頭の子を産む。幼獣は半年もすると単独で行動するようになるが、 成獣の大きさになるまでの2〜3年間は母親の行動圏に留まる。その後、雄の幼獣は分散し、雌の幼獣は母親のそばで暮らす。行動圏の広さは雄が200〜300ha・雌が100〜200ha。 寿命は10年に満たないらしい。


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