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山口県南東部に位置する旧熊毛町の北部、烏帽子岳に連なる山ふところの八代盆地(標高300m)を中心に、ナベヅルが越冬のため渡来する。指定地域は、旧八代村全域1,900haが主体。
ナベヅルは、日本に渡来するツルのうち最小のもので、全長100cm・翼長50cm・翼開長155cm・体重4kg。頭頂は赤い皮膚が露出し、額は黒く、顔から頚は白く、
虹彩は赤色。体は灰色。幼鳥は褐色がかった灰色で、頚から上にも褐色の産毛。体色が鍋底についた煤(すす)のようなところから「鍋鶴」と名付けられているが、
衣をかぶった姿に見えるところから「きぬかつぎ」という上品な異名もある。
ロシア極東地方と中国北東部のアムール川・ウスリー川流域から北の湿地帯で繁殖し、幼鳥が親鳥とほぼ同じ大きさになる9月上旬ころから南へ向かって出発する。
朝鮮半島を通り対馬海峡を渡り、初霜の降りる10月下旬から翌年1月中旬に2〜4羽の家族単位で渡来して越冬する。
各家族は畦・小径・小溝などを境界とする一定の縄張りを持ち、それが1ha以上になるものもある。親離れしている2年目の若鳥は、群れを作って縄張りの間を移動する。
日中は盆地の水田や周辺で餌を求め、夜は山あいの水田やはげ山にあるねぐらで休む。餌はモミ・ムギ・草の実や根・水草・昆虫・ミミズ・タニシ・小魚など。
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