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早池峰山(標高1,917m)は、北上山地の中央に位置する最高峰。生成年代が2億年前と非常に古く、北面と南面では山容も植生も著しく異なる。
北面は、比較的緩傾斜で風衝の影響も少なく土壌も豊かなため、1,600m付近までが亜高山帯の森林が形成されている。
これに対して南面は、かなり急傾斜で土壌も乏しいため、1,300m付近までしか森林が見られず、そこから頂上までの高山帯には乾性の植物群落が形成されている。
山肌のいたるところに超塩基性で風化浸食に強い蛇紋岩が大きく露出して岩石裸地になっており、氷河期の厳しい自然に耐えて残った固有種や希少種を含む数百種の高山植物が生育。
この山が暖地産種と寒地産種の接点にあるため、北限種や南限種も見られる。
早池峰山の、とくに南面の高山帯の中腹から山頂にかけて「早池峰の女神」ともいわれるるハヤチネウスユキソウが生育。キク科の多年草。
清楚で気品のある姿をしていて、ヨーロッパアルプスの星とよばれる名花エーデルワイスに似る。
ナンブトラノオ・ナンブイヌナズナ・ナンブトウウチソウ・ミヤマヤマブキショウマ・ヒメコザクラなども可憐に咲く。
薬師岳は酸性の花崗岩が基盤で土壌も豊か、1,500m付近まで森林に覆われている。希産植物は見られないが、山麓地帯のブナ林、
亜高山帯のコメツガ・アオモリトドマツ林、そしてハイマツの出現する高山帯と規則正しい植物の垂直分布になっていて、植物界で常識はずれとみられている早池峰山の植生と好対照をなしている。
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