写真提供:栃木県日光市 舘野正樹氏
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コウシンソウは、明治23年(1890)、三好学理学博士が足尾の庚申山(こうしんざん)(標高1,892m)で群生しているところを発見し「庚申草」と命名した日本特産の食虫植物で、
被子植物類タヌキモ科の多年草。
30年代になってから女峰山(にょほうさん)や男体山(どちらも日光市)でも発見された。
霧がかかり、太陽が1日に数時間は当たるという非常に特殊な環境のところで、コケの生えている断崖にへばりつくように生育する。
大きな群落は、庚申山の中腹にあるだけらしい。
葉は楕円形凹頭で根生。葉と花梗の表面に密生する小さな腺毛から粘液を出し、小さな虫を捕らえて養分にする。
花期は6月中旬から7月。花茎は2〜3本に枝分かれし高さ3〜8cm。花冠の長さ10〜15mmで唇形をした淡い紅紫色のかれんな花を、谷の方に向いて開く。
倒卵形の果実ができると、花茎が上の方に反り返って種子を岩にこすり付けるという面白い繁殖の仕方をする。
色丹島や樺太のほか北半球の寒帯に分布する「カラフトムシトリスミレ」の変種との見方もある。
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