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アイラトビカズラは、被子植物類マメ科のつる性常緑木本植物。わが国でただ1か所、熊本県北部にある丘陵の崖に、それも1本だけ自生している。
樹齢1,000年以上。幹周り50cm、大小数十本のつるが絡み合いモウソウチクや樹木に巻き付いている。葉は互生の三小葉からなり、真ん中の小葉は楕円形で長さ7〜15cm、
両側の小葉は下に張り出した卵形をしていて濃緑色で光沢がある。
4月下旬から5月中旬、直径10cm以上にもなる茎に、暗紫紅色で長さ7cmの蝶形花(ちょうけいか)が十数個集まったものがブドウの房のように垂れ下がって咲き、
甘い香気を放つ。結実しない。最北限性のためか、媒介昆虫がいないためらしい。
アイラトビカズラがここにだけ1本自生しているのは、昔ここが相良寺の境内で、留学僧が中国から種子を持ち帰ってまいたからではないかといわれている。
以前はまれにしか開花せず、明治のころは日清・日露戦争のときの二度咲いただけとかで、国家の有事のときしか咲かないといわれていた。
しかし、10年ほど前に周辺が公園として整備され管理が行き届くようになってから樹勢が回復し、毎年花が見られるようになった。
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