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ヤッコソウは、被子植物類ヤッコソウ科1属1種の一年草で、暖地のスダジイ(イタジイ)やツブラジイの根に生える寄生植物。四国や九州の海岸付近のスダジイ林などでまれに見られる。
宮崎市南東部にある野島神社の裏山の斜面に、個人所有の群生地がある。標高20mあたりのスダジイ林で、明治42年(1909)にここで初めてヤッコソウが発見された。
2年後に日本特産の世界的珍種として発表され、地上部の形状が奴(やっこ)さんのねり歩く姿に似ているところから「奴草」と名付けられた。
花茎は高さ5〜7cmで淡桃色。周囲に、厚ぼったい卵形で淡褐色の鱗片葉5〜6片が十字形に対生。この葉は上の方ほど大きく、最上の一対が奴の袖に当たる形。
花茎の頂に雌雄両性の完全花をつける。花弁はなく、わずかに多肉性の単一の花被が環状に子房にへばりつく。花被や鱗片葉から分泌される蜜を吸いにメジロやハチが集まる。
この群生地では、平成5年(1993)の台風によりスダジイが倒伏するなど大きな被害を受けてから発生しなくなり現在養生中。老木ながら樹勢が回復すれば、
10月下旬から11月中旬に、なんともかわいらしい姿を見せるはず。
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