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志布志港の沖合4km、志布志湾のほぼ中央に浮かぶ枇榔島は、周囲4km・面積17.8ha、海抜83mの南北に細長い無人島。国有林と枇榔神社の社有地。
樹齢300~400年と推定される数千本のビロウをはじめ、200余種の亜熱帯性・暖地性の植物が繁茂し、とくに南斜面は、ビロウの巨木が密生してほぼ純林になっている。
北斜面は、スダジイ(イタジイ)・マテバジイなどを優占種とする照葉樹林で、モクタチバナの巨樹や気根を垂れるアコウなどが生い茂る。
また、カラスキバサンキライ・チョウジカズラなどつる性植物が絡み合い、下草にはクワズイモ・アオノクマタケランなどが多い。
谷筋にはシダ植物も多く、亜熱帯性植物群落特有の景観を呈している。
ビロウは被子植物類ヤシ科の常緑高木、高さ10~15m。四国南部から九州南部以南の主として海岸地帯に分布し、南方は台湾まで。直径1~2mの掌状の葉を多くつけ、
葉柄にはとげ。春には葉腋に黄白色で香気のある花が多数咲く。
島に生育しているビロウその他の亜熱帯植物は、南洋方面から漂着したのではなく、もともと土着していたものが生育条件に恵まれて繁茂したとみられている。
周辺には魚介類が豊富なため、島は昔から漁労の足場になっていた。しかし、湧き水が渚に1か所あるものの干天時には涸れてしまうので、
人が居住できなかったらしい。また、枇榔神社の社有林ゆえ伐採されず、原生の植生が保たれてきた。
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