さてこれから、虫の飼い方の実際と、観察する時どんな点に注意したらいいかのポイントを紹介します。
現在の技術ではほとんどの虫の飼育が可能です。しかし、専門家でも飼育のむずかしいものがたくさんあり、また特別な餌や器具がなければ飼えないような種類も少なくありません。
たとえば、一般にハチ類のような肉食性の虫は餌の確保が大変で、飼いにくい虫ですし、カミキリムシやタマムシ類のように幼虫が樹木の材部を食べる虫もかんたんには飼えません。
また、飼うのはやさしくてもドクガ類のような人を刺すケムシ(本ホームページ「昆虫科学館」の「庭の刺す毛虫」参照)はおすすめできません。そこでここで取りあげる虫は、
卵から成虫まで1世代を通して比較的飼いやすく失敗が少ない種類を中心に、飼うのはむずかしくても、成長した幼虫から成虫になるまでの短期間ならば飼育でき、
しかも観察しておもしろいものも少し加えました。
ただ、皆さんがここで説明したとおりに飼っても必ず成功するとは限りません。相手は生き物ですから、思わぬことでうまく飼えないこともありますし、ちょっとした不注意で死んでしまうこともあります。
また、ここで説明したのは飼い方の例です。そのとおりに飼う必要もありません。自分で飼いやすい方法を見つけるのが一番いいわけで、飼い方にそれほどきちんとした決まりがあるわけではありません。
また、虫を飼うには文章では説明できないコツのようなものもあり、それは経験によって自分で学ぶしかありません。たとえ失敗しても、その経験を次に飼うときに生かせばいいわけでむだにはなりません。
ホームセンターなどでいろいろな虫を売っていることが批判されていますが、最近の外国産のカブトムシやクワガタムシは別として、私にはそうは思えません。国産種の場合の多くは、
業者が特別に大量飼育したか、それに近い形で保護して増やしたもので、自然破壊とはあまり関係ないことが多く、そんな虫を買ってきて飼ってもそれはそれでいっこうにかまわないと思います。
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