ホーム読み物コーナー > 虫の飼い方

虫を飼うための豆知識
1.虫はどんな生き物か?
虫のからだの特徴
虫の種類数
虫はなぜ繁栄できたか
虫の変態
虫の食べ物
虫の生活史と冬越し
虫の増え方
人間とちがう進化の道

2.虫を飼う前に
飼育のための「根気」
事実を観察する眼
飼育のコツ

3.虫を飼うための道具
飼育容器
野外で虫を飼う
飼育に使う小道具

飼育の実際と観察のポイント
1.鳴く虫の仲間
スズムシ

タイトル:虫の飼い方 飼育と観察の教室

梅 谷 献 二

カット写真:オオムラサキの羽化

はじめに
 昆虫の仲間は全動物の種類の過半数を占める地上最大の動物群です。このページは、私たちの身近に見られる野の虫たちのうちから、なるべく育てやすい種類をいくつか選んで、 飼い方や観察の仕方をできるだけやさしく解説したものです。

 小学校の上級生以上から大人まで、虫を飼った経験のない人でも、これを見て虫を飼いはじめることができると思います。また、小さいお子さんならば、 保護者の皆さんが最小限の手助けをしてあげてください。ただ、虫といっても野生の生き物であることに変わりはありません。ほとんどの子供たちは、動く虫に興味を示しますが、 なかなか自分で飼ってみようという発想に結びつきません。しかし、一度でも自分で虫を育ててみれば、びっくりするような発見がたくさんあるにちがいありません。 さらに観察記録をつけるのがめんどうならば、飼育になれて自分でその気になるまでその必要もありません。イモムシがサナギになり、チョウに変身する不思議、 スズムシがやっと成虫になって初めて鳴き出したときの喜び、机の上の勉強からはけっして知ることのできない、そんな体験は自分で虫を飼った人にしかわかりません。 その道案内として、このページが役に立てば、こんなにうれしいことはありません。

 身近な虫を採集して自分で飼うという行為が自然保護に反するというようなおそれはまずありません。都会の真ん中で、このページで紹介したような虫を手に入れるのに苦労する場合は、 ペットショップで買ってきてもいっこうにかまいません。いずれにしても子供たちの遊び相手が、自然物からテレビゲームへと変わってしまった現状が、ヒトという生き物の将来にとって、 けっしてよいこととは思えないからです。

 このページで紹介したような虫を飼うのは、技術的にそんなにむずかしいことではありません。相手が生き物であることを忘れずに、愛情を持って世話してやれば、 虫たちもまた自然界の秘密をそっと教えてくれることでしょう。なお、保護者の皆さんがお子さんに質問されて困るような虫についてのナゾと答えを、このページの中に少々加えました。 もっとも、「なぜ?」という子供の素朴な質問は、そのまま近代科学でも解き明かされていない未知の部分を指すことが多く、それほどすっきりした答は用意しにくいのですが・・・・・・。

 本欄に使用したイラストの一部は、 拙著『虫と遊ぶ−飼い方と観察』(家の光協会、1976)、 および『たのしいこども昆虫教室』(同、1979=イラスト:滝波実氏) から転用したものです。